羽箒 - 炭手前に使用する茶道具
羽箒は鳥の羽で作った箒です。炭手前のとき、炭や灰の粉が散るので、風炉、炉、炉縁、炉壇、五徳の爪、釜の蓋などを羽箒で清めます。
ツル類や、ノガン、セイラン、コウノトリ、ハクチョウ、フクロウ、シマフクロウ、トキや猛禽類など、様々な大型鳥類の主に翼の羽で作られた羽箒が使われています。
利休の頃から点前道具として使われるようになったとされています。
座箒(ざぼうき)、掃込(はきこみ)は客の前で道具畳を掃く羽箒になります。
座箒についてはこちら
羽箒の種類
羽箒といえば三つ羽をさし、羽を3枚重ねたものになります。
第一に珍重されるのは青鸞で、白鶴、玄鶴、真鶴、鷹、野雁、紅鷺、白閑、鷲、鴻、鴇、白鳥、梟などが使われます。
向かって右側が広い羽を右羽といい、風炉用に使われます。
向かって左側が広い羽を左羽といい、炉用に使われます。
左右同じ羽を双羽(諸羽)といい、炉、風炉兼用で真の炭手前にも使われます。
一つ羽は一枚の羽で作られていて、暑中または装飾用に用います。
茶道における羽箒の役割
鳥は清らかなものと考えられ、羽そのものも清らかなものとされています。
羽で掃く事も、掃き「清める」という意味を持つことになるのです。
茶の湯の羽箒においては、その清めの精神性が特に重視されます。流派によって違いはありますが、客の入室前に亭主が羽箒で茶室を掃いたり、道具を置く場所を掃いたり、炭をつぐ前に風炉や炉を掃くのも、羽がその場、ひいては人の心をも清めると考えられているからでしょう。。
鳥の種類による意味合い
鳥の種類や美しさが重要視され、白鶴、玄鶴、真鶴、鷹、野雁、紅鷺、白閑、鷲、鴻、鴇、白鳥、梟など様々な鳥が、季節や趣向に合うかどうかの鑑賞性によって、また取り合わせによって使い分けられています。
唐国鳥(七面鳥)の羽箒は練習用として使われています。「台子」には「野雁」といわれたり、イメージなどで使われています。
異名について・・・
替鶴、銀鶴、大鶴、青鶴など、中にはこれらの名のついた羽箒があります。色々な呼称で呼ばれていますが、鳥の名称ではありません。
これらの詳細は不明であります。
青鸞(せいらん)
キジ科の孔雀に似た大きな鳥で、羽は珍重されてる。大きな丸い目のような模様が特徴の羽は大変貴重です。
生物学的には「大眼斑雉」と呼ばれているようです。
銀鶴(ぎんづる)
落ち着いた墨画の雰囲気があります。
鶴は瑞鳥(ずいちょう)といわれ、 めでたいことの起こる前兆とされる鳥です。
鷲(わし)
力強さと重厚さが特徴の羽。
比較的大きめ(幅広)の羽になります。
鴻(こう)
力強さと重厚さが特徴の羽。
比較的大きめ(幅広)の羽になります。
若白鳥(わかはくちょう)
羽毛は柔らかく優しい白色の羽。
幼鳥は、全体が灰白色で、旅立ちの季節、白鳥になる前の若い褐色を残した羽根色です。
白閑(はっかん)
白黒(黒に近い濃茶)の規則的な縞模様が特徴。
茶人の美意識とともに炉を美しく掃き清めます。
玄鶴(くろづる)
色の濃淡の美しさが特徴の玄鶴(クロヅル)の羽箒。
鍋鶴の異名。
鷹(たか)
特徴ある縞模様が雰囲気を醸し出します。
古来、鷹は冬の鳥とされておりました。
赤鷹(あかたか)
鷹は夏季の間に換羽します。
煌びやかな縞模様が夏を思わす赤鷹の羽です。
羽箒の扱い
- 個体差
同じ種の鳥といえども天然のものなので、商品の一本一本個体差が生じます。
お届けする羽根柄の出方や色の濃淡、形状などは写真とは若干異なります。 - 保管について
大切に長くお使いいただくために、風通しの良く湿気の少ない冷暗なところで保管下さい。
防虫効果のある桐箱などに入れたり、白檀などを入れることをお勧めします。 - 販売価格・在庫状況
羽箒は常時在庫があるわけではないため、お手数ですが、ご注文の際に在庫、納期はご確認いただきますよう、お願い申し上げます。