道具炭 - 炭手前に使用する炭
炭手前に使用する、くぬぎ炭は現在では各流派で定められた名称・寸法があります。
炭手前に使用する炭「道具炭」には名称や用途があり、また、炉用、風炉用で寸法に違いがあります。従来は長い炭を炭の太さや長さによって、定規などに合わせて寸法どおりに切っていましたが、 現在ではあらかじめ寸法通りに切ったものがご用意されています。
*ここで紹介している炭は三千家のものになります。 また、流派によっては使われない炭や若干数値が異なる場合もございます
道具炭の名称と寸法
同じ名称でも炭の大きさは 炉用>風炉用 1寸=3.03cmで計算しています
名称 | 炉用 | 風炉用 |
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1.胴炭(どうずみ) | 長さ15.2cm・径5.5-6.5cm | 長さ12.1cm・径3.7-4.2cm |
2.丸管(まるくだ) | 長さ15.2cm・径2.2-2.6cm | 長さ12.1cm・径1.8-2.2cm |
3.割管(わりくだ) | 長さ15.2cm・幅2.5-3cm | 長さ12.1cm・幅1.8-2.3cm |
4.丸毬打(まるぎっちょ) | 長さ7.62cm・径4.2-4.7cm | 長さ6.1cm・径3-3.5cm |
5.割毬打(わりぎっちょ) | 長さ7.6cm・幅4.2-4.8cm | 長さ6.1cm・幅3.4-3.8cm |
6.点炭(てんずみ) | 長さ7.6cm・径2.2-2.6cm | 長さ6.1cm・径2-2.5cm |
7.輪胴(わどう) | 長さ6.1cm・径6-7cm | 長さ6.1cm・径4.3-4.8cm |
8.香合台(こうごうだい) | 長さ7.6cm・径4.8-5.2cm | 長さ6.1cm・径3.6-4cm |
9.枝炭(えだずみ) | 長さ18cm 二又・三ツ又 | 長さ15cm 二又・三ツ又 |
各道具炭の特徴
炉用の炭
炉は茶席で湯を沸かすのに用いる設備で囲炉裏の略称です。11月~4月は炉を用いるのが一般でこの時期が炉の季節になります。風炉用のくぬぎ炭より寸法が大きく、使用する炭の数も多くなります。
風炉用の炭
風炉は火を入れ、釜を掛け、湯を沸かすのに用いる茶道具。5月~10月の間、風炉が据えられ、この期間を風炉の時期といいます。風炉用のくぬぎ炭は炉用より寸法は小さくなります。
各道具炭の名称・特徴
- 胴炭
最も大きな炭で炉、風炉用の初炭に使います。 - 丸管
胴炭と同じ長さの細い炭。 - 割管
丸管を縦に半分に割った炭。 - 丸毬打
古来の遊戯である毬打に見立てた呼び名と言われている。胴炭、管炭の半分の長さ。。 - 割毬打
丸毬打を縦半分に割った炭。。 - 点炭
丸管の半分の長さの炭。 炭手前の最後につぐ炭で止炭とも添炭とも言います。。 - 輪胴
胴炭のように 太い炭で後炭に使います。(裏千家)。 - 香合台
丸毬打の太めの炭で香合をのせるのに使います。実際には燃やしません。。 - 枝炭
小楢の枝などを焼き、胡粉を塗って白く化粧した炭。景色炭として、火の導火線としての役割。。
茶の湯炭
茶の湯炭は、クヌギの木を原木とした黒炭で、産地としては岩手県を北限としその南の日本各地(高い地と日本海の豪雪地帯を除く)で生産されており、見た目の美形から、「菊炭」「さくら炭」と呼ばれています。
また、産地名を持っても呼ばれており、特に「池田炭」「佐倉炭」「横山炭」「伊予炭」「松阪炭」などの名前を付けられる場合もございます。
参考資料
岸本定吉「炭」丸ノ内出版 、樋口清之「木炭」法政大学出版局