茶と炭
ここではお茶と炭の大まかな歴史と歩みを紹介しております。
お茶には炭が欠かせなく、また炭も喫茶の成熟に伴い、品質の向上につながりました。
喫茶の風習
喫茶の習俗は奈良時代、中国より伝来し、抹茶の製法、飲み方は鎌倉時代、栄より伝わったと言われております。当時、茶は薬用で粉末にして用いられ、今日の抹茶と同様に用いられました。
喫茶の風習は武家、僧侶から次第に大衆に普及し、南北朝時代にこの喫茶の風習を定式化したのが足利義政で、東山流、あるいは書院風と呼ばれる豪華な茶の湯形式を完成させました。
一方、奈良称明寺の僧、村田珠光は「下々の茶の湯」に適用し、大衆的な茶道の基礎をつくりました。四畳半の庶民住居で、また、信楽、備前など国産陶器を使用する今日の侘茶の源流を作り、その後、武野紹鴎、その門下の千利休により今日の侘茶が完成したと言われております。
茶と炭の重要な関わり
この茶道の完成の間に燃料となる木炭も技術的改良が加えられ、日本の炭が世界一の品質を持つに至ったのは、茶の湯が大きな役割を果たしております。
茶は炭を重要な要素として設立する芸道であって、炭の形、色沢、質、熱質の吟味を重んじた、炭の文化史上において、茶道のもつ意義は特筆に価します。
しかも茶の趣味はやがて日本人の日常生活にとけ込み、食事の習慣、礼法、調理、起居に至るまで影響を与えたので、日本人の生活と炭とをいっそう離れない関係にしていきました。
くぬぎ炭の産地
茶の湯炭は、クヌギの木を原木とした黒炭で、産地としては岩手県を北限としその南の日本各地(高い地と日本海の豪雪地帯を除く)で生産されており、見た目の美形から、「菊炭」「さくら炭」と呼ばれています。
また、産地名を持っても呼ばれており、特に「池田炭」「佐倉炭」「横山炭」「伊予炭」「松阪炭」などの名前を付けられる場合もございます。
参考資料
岸本定吉「炭」丸ノ内出版 、樋口清之「木炭」法政大学出版局